私があなたを殺してあげる
惹かれる気持ち

 何時眠ってしまったのだろう? 

 私は泣き疲れてそのまま玄関で眠ってしまっていたようだ。


「あっ、上着・・・」

 私は浅尾くんに上着を返し忘れていた。しかしそのおかげだろうか、玄関で眠ってても寒くはなかった。


「返さないと・・・」

 私は浅尾くんに最低なことをした。自分の後悔に浅尾くんを巻き込んで、自分を癒そうとした。


 会いづらいなぁ・・・ 
 顔を見れない・・・ 

 軽蔑されただろうか?


 けどこういう時こそ、ちゃんと大人としてその姿を見せる時、恥ずかしい自分をさらけ出し、謝ることだ。


 私は泣いて、眠って、少し気持ちがすっきりしたのか、少し前向きになれた。いや、きっとこれも浅尾くんのおかげなんだろう。


「あっ、もうこんな時間。支度しないと」

 私は慌てて仕事へ行く準備を始めた。



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