未来の種
両親に報告
翌日、昼前に昇平が迎えにやって来た。これから両親に話すと思うと緊張する。

久しぶりに帰った実家。

長男、鉄平の結婚を機に、完全分離の二世帯住宅に建て替わっている。

私達が育った藤田邸は、建築年数が父の年齢と同じという、古い赤煉瓦のお屋敷だった。建て替わってから私も2年ほど住んでいたのに、帰る度に昔の屋敷を思い出してしまう。

話は昇平が切り出してくれた。
最初に失神した頃から、東京で手術を受けたところまで。やはり母のショックは相当なもので、涙ながらに知らなかったことを謝られてしまった。

「手術を1人で乗り越えただなんて…。
ミイちゃん、言ってくれたら良かったのに…。お母さん、気付かなくてごめんね…。」

「お母さん…。
腹腔鏡手術だから、二泊三日の入院だったのよ。そんなに長く居たわけじゃないわ。
それに、昇ちゃんがずっと付いていてくれたから、心強かった。」

それは本当だ。昇平はずっとそばに居てくれたから。

「昇平、寿貴先生は今後をどう言ってたんだ?」

「手術は成功したけど、低用量ピルを止めてるから、内膜症の炎症がまた広がる可能性はある。ただ、それより問題なのはAMH値なんだ。」

「……低いのか?」

「ああ。年齢から言うと…。」

さすがに、父は知っているようだ。

「AM…? それは何?」
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