今さら本物の聖女といわれてももう遅い!妹に全てを奪われたので、隣国で自由に生きます

渡りに船

「でも、どうして殿下が………」

国力的にも規模的にも格上のリヴァーロンの王太子をわざわざ宮殿に招いたのか。見た感じ王太子を招く用意は全くされていないようだった。

私の言葉に、アリアス殿下はつまらなそうに窓枠に頬杖をついた。馬車はいつの間にか動き出している。

「メッセージカードがね、届いたんだよ」

「メッセージカードが………?」

「面白い余興をやるので、ぜひ見届け人となってほしい───ってね。本来なら行くかどうか迷うところなんだけど、今回は他にも用事があってね。それで訪れていたんだ」

余興………。

間違いなく私との婚約破棄騒動のことだろう。今更だが本当にクズがすぎる。あのクズ王子。このままいけばマクシミリアン殿下は高確率で廃嫡されるだろう。だけどそれだけでは気が済まないような気すらしてきた。私のことをバカにして見世物にする気だったのだ、あの王太子は。

どうりで王宮に見かけない顔が多いと思った、と内心毒づいた。
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