雲居の神子たち
プロローグ
「そうかい、もう13になるのかい」
感慨深そうな女性の声。

「本当に、早いものです」
こちらもまたしみじみと口にした青年。


四方を壁で囲まれ、明かりの一切入らない部屋でろうそくの光だけが揺れている。

「やはりあの子なのかねぇ」

「それは・・・」
青年は言葉に詰まる。

この世の行く末は神のみぞ知る。
人間に計り知る術もない。
ただ、何十年かに1度奇跡のような力を持つ存在が生まれることがある。
その命が世界を救うのか、はたまた破滅へと導くのかそれはそのものの成長を見守るしかない。

今から13年前この地をなす国の1つに生まれた小さな命。
その命は神が与えたとしか思えない姿をしていた。
その子の出産に立ち会った巫女たちは皆、『この子は世界を変える子だ』と予言した。
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