都合のいいふたり
初デート @1ヶ月前
土曜日の朝、私は眠い目を擦り、シャワーを浴びた。
朝といっても、もう10時を過ぎてはいるけど。

昨日の夜もシャワーを浴びたのにと思いながらも、心を落ち着かせるための儀式のようになっている。

考えてみれば、涼介と住み始めてから近くのスーパーやレンタルDVDを借りに行く時ぐらいしか、一緒に出掛けたことがない。

高校の同級生との集まりは平日で、お互い仕事帰りだし、皆んなには2人の同居を内緒にしているから、別々にこの家に帰って来る。

2人での初めての外出に、私の胸は昨日からずっとドキドキが続いている。今、眠いのだって昨日の夜、中々の寝付けなかったせいだ。

「涼介は同居人で友達。」と何度も自分に言い聞かせているのに、今日の私はいつになく聞き分けが悪い。

シャワーを浴び終わると、いつもより念入りに肌のお手入れをする。

結局、悩み抜いた挙句、私はお気に入りのワンピースを着て、いつもは束ねがちな髪を下ろして、メークはナチュラルに仕上げた。

あまりお洒落をし過ぎるのも恥ずかしいし、通勤の時に来ている服は、どこか休日にはそぐわない。

そうしてると、下から声が聞こえた。

「あゆ、準備できた?もう、11時過ぎてるけど。」

「うん、できたよー。」

そう言いながら階段を降りると、涼介はコーヒーを淹れてくれていた。

振り返り、私を見る。

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