運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
真っ青な顔をして、脂汗を滲ませている綾乃。
「しっかりしろ!」
声をあげて綾乃に問いかける。
「綾乃?綾乃!」
悟の呼びかけに、返事をしない綾乃。

でも、瞳の端から一筋の涙が伝った。

「今病院連れてくからな。」
悟は綾乃の体をすっと抱き上げるとすぐに玄関に向かった。

ちょうど自分のポケットには携帯電話も車のカギも入っている。

そのまま駐車場に向かい自分の車に綾乃を乗せると、携帯電話で近くの病院を検索して車を走らせた。

助手席の綾乃は意識がもうろうとしたまま、目を開けたり閉じたりを繰り返している。
悟は緊張しながら、綾乃の手を握った。
「大丈夫」
綾乃に言いながら、震えだしそうな自分にも言い聞かせた。
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