褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

『実は、俺のお父さんカメラマンで……』

『今のところ、実玖ちゃんにしか話してない』



特別扱いと聞いて、私にだけ打ち明けてくれた秘密が脳内で再生された。

うーん……これは信頼されているって表したほうがしっくりきそうだけどな。



「い……いつも通りだったよ?」

「そう? 秘密を打ち明けられたとか、滅多に見ない表情を見れたとかはなかった?」



最後の言葉を聞いた瞬間、動揺してシャーペンの芯がボキッと折れた。


『い、行こっか』


少し焦った先輩の顔がポンと浮かぶ。

照れ笑いしてるのは見たことあったけど、顔を赤くした姿を見たのは初めてだった。


あの後、お店に入るまで会話がぎこちなかったんだよね。

話すのが上手い先輩には珍しく、言葉が途切れ途切れになってたし……。



「おや? その反応は何かあったな?」

「えっと……その……」



動揺してシャーペンをカチカチ鳴らす。

うぅ、なんて答えたらいいんだ……。


秘密は絶対に言えない。


とはいえ、正直に答えたら、さっき以上に興奮して周りの注目を集める恐れが……。

返答に頭を悩ませつつ、再びペンを走らせると。



「清水さん、才木さん」
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