褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません



「あ、才木さん! 清水さん! おはよう!」

「おはよー!」

「お、おはよう……」



教室に入り、クラスメイト達と挨拶を交わしながら自分の席へ向かう。

対面式の日に兄が教室に突入してから、私はすぐにクラスメイト達に顔と名前を覚えられ、次の日からたくさん声をかけられるようになった。


キリッとした顔立ちの兄に比べ、私はぽやんとした顔立ちなので、最初は兄妹ではなくカップルに見られていたらしい。

唯一似ているのは背が高いところだけ。


あ、背が高いといえば。



「おはよう。才木さん、清水さん」

「おはよう須川!」

「お、おはようっ」



爽やかな笑顔で挨拶してきたのは、クラス委員の須川湊士郎(すがわ そうしろう)くん。

聡明な雰囲気に健康的な肌色、兄と同じくらいの背丈で、笑った時の白い歯が特徴。


彼は兄の教室突入事件があった後、『昨日大丈夫だった?』と心配して声をかけてくれた優しい性格の持ち主。

そして、男子が苦手な私にとって、唯一話せる男子の1人である。



「ねぇ須川、今日この列英語の和訳当たるよね? 答え合わせしていい?」

「いいけど……俺、答えじゃないんだけどな」
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