丸重城の人々~前編~
響子は三人の男相手に、簡単にひれ伏させた。
「なんだよ、この女…」
「早く消えて…!あ、お金…弁償しなさいよ!食材ほとんどダメになったから」
「今…金、ありま…せん」
「あ?ない?
んなわけないでしょ?出して?」
「だから、ほんとにないん、です…」
「だったら、仲間かなんかに持って来させて?今すぐに……。
スマホ出して?」
「え…?」
おそるおそる、取り出した男のスマホを奪い、
「誰にかける?」
と優しく聞いていた。
その柔らかな声が逆に、相手の恐怖を誘う。
「響ちゃん、もうやめて帰ろ!」
「ダメよ…食材ダメになったし、私を怒らせたし、なにより…………。
柚希を傷つけたでしょ?」
「響ちゃん…」
「大丈夫。今大を呼ぶから、迎えに来てもらうね?」
「え?いや、大翔が今こんなの見たら……」
「フフ…そうね…。またコイツ等傷つくわね…?楽しいじゃない?」
「お願い…響ちゃん。もう帰ろ?私もう大丈夫だから」
柚希の言葉を聞かず、大翔に電話をかける響子。

数十分後、大翔と中也が駆けつけた。

「柚!!」
「柚希!?」
「あ…大翔!中也くん」
「柚…大丈夫か?」
柚希の頬を撫でる、大翔。
「大丈夫。響ちゃんが守ってくれたから。
だからもう四人で帰ろ!ね?」
「大中!柚希連れて帰って!後は私がやっとく!
柚希、ちょっと待っててね。食材買ってコイツ等に届けさせるから!」
「え…やだ……響ちゃんも一緒に…」
「柚、帰るぞ!抱っこするから、おいで?」
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