丸重城の人々~前編~
「俺は響子と残る!柚希傷つけたって聞いたら、許せないし」
「あぁ、じゃあ待ってるな!
おいで?柚…」
少し強引に柚希を抱える、大翔。
そして、行ってしまった。


「じゃあ、柚希もいなくなったから、誰も止める人いないわよね…?」
「相変わらずだな、響子」
「当たり前でしょ?せっかく柚希、人と向き合おうとしてたのに、このせいでまた克服が遠ざかるじゃん?許せないわよ…」
「まぁな。でも、お前等も運が悪いな…よりによって、響子にナンパなんて」
「運が悪いのは、柚希よ!かわいそうに…」
「ハハッ、確かに」
「お前等何者…?」
「何者って…何に見えるの?てゆーか、どう見ても、初対面でしかも私より年下よね?
なんで“お前”呼ばわり?」
不気味な笑顔を貼り付けた響子。
「あ…すみません…」
「“響鬼”(きょうき)って聞いたことない?お前等」
中也が言う。
「俺は“中剱”(ちゅうけん)だったな。兄貴が“冷酷な翔”か」
「え…それって…伝説の…」
「伝説なの?私達」
不思議そうに言う、響子。
「そりゃ、三人とも1,000人切りとか、悪魔とか、死神とか色々…」
「なんかやだ…それ……キモい」
響子が眉をひそめる。
「まぁどうでもいいや!で?どうすんの?響子」
「弁償させるの!柚希がご飯作るって張り切ってたのよ?」
「了解!じゃあ金!」

その後男達の仲間にお金を払わせ、食材などを購入し荷物を持たせ、丸重城に帰った、響子と中也。

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