秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
第六章

その名を与えたのは

その日、仕事と晴馬のお迎えを終え家に着くと、すでに兄は帰ってきていて、神妙な顔でリビングのテーブルに座っていた。

「お兄ちゃん、今日はずいぶん早いのね」

どうやらふたり分のお弁当を買ってきてくれた様子。あとは晴馬のご飯を作るだけで済むので、楽で助かる。

「晴馬の分、作れなくてゴメンな」

料理はからきしな兄である。以前、無理やり作ろうとして失敗し、材料を無駄にしてしまったことがあるので、むしろ手をつけないでいてくれてよかったなぁと安心する。

「全然いいのよ。いてくれるだけでありがたいんだから」

兄がリビングで晴馬の相手をしてくれるから、私はキッチンで夕食作りに集中できる。それがとてもありがたいのだ。

「ついでにもうひとつ頼まれてくれるか?」

兄が申し訳なさそうに切り出してきたので、私は首を捻った。

「今夜、晴馬を寝かしつけたあと、涼晴のところへ行ってきてほしい。晴馬のことは俺が見ているから」

涼晴の名前を聞いて、無意識のうちに体が強張る。

もしかしたら、兄はすべての事情を涼晴に打ち明けてしまったのかもしれない。話し合いの場を設けてくれようとしているのだろうか。
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