8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~

『今のお前になら、加護を与えてもいい。オスニエル、私のフィオナを殺そうとしたこと、忘れはせんぞ』

「それは、反省している。これからは彼女を大切にすると誓う。どうか聖獣よ、俺に彼女を預けてくれ」

『知るか』

 氷の壁が、目の前にできた。
 オスニエルもフィオナも息を飲む。オスニエルはドルフを睨んだが、自分の分が悪いと思ったのか、引き下がった。

「分かった。俺の本気がわかってもらえるよう、努力する」

 そう言うと、すっと立ち上がり、フィオナを振り返った。

「フィオナ。明日の朝食は一緒に取ろう。迎えをよこす」

「え?」

「……必ず来てくれ」

 懇願するような瞳に、フィオナは正直言えばときめいた。顔が熱くなっているし、ドキドキして気持ちがおさまらない。

『ふん』

 と鼻息荒くつぶやくと、ドルフは子犬の姿に戻った。

『あの男がどこまで本気なのか、ちゃんと見極めろよ、フィオナ』

「ドルフ」

『俺はお前を大事にしない男には渡さないからな』

 かわいい姿で格好いいことを言われても様にはならないが、気持ちがうれしくてドルフを抱きしめる。

「ありがとう、ドルフ、大好きよ」

『ふん』

 ツンツンしていても、ドルフは優しい。子犬の姿で、フィオナのことをずっと見守ってきてくれたのだ、優しくないわけがない。
 苦しそうにもがきながらも、ドルフは頬に顔をすり寄せてきた。このギャップがかわいいなとフィオナはしみじみ思った。
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