諦 念

▪▪告白···③


動物園で知り合って
一年を過ぎた時に
松坂さんに告白をされた。

私は、怖かったが
私がしてきた事を話した。
真琴の父親の話しも。

松坂さんは、驚いた顔をしていた。
当然の事だと思う。
だから······
「こんな私に告白してくれて
本当に嬉しかった。
ありがとうございます。
松坂さんならきっと
良い人と巡り会えると思いますよ。
それでは。」
と、頭を下げて店をでた。

今日は、近所のおばあちゃんに
二人を預けていた。
おばあちゃんは、とっても
喜んでいた。

これもなくなるのかな····

なんて考えていると
急に腕を取られて
そのまま抱き締められた。

びっくりしていると······

「ごめん。直ぐに返せなくて。
真澄さんが、そこまで想う男性が
いた事に····ショックで·····」
と、言われて
「えっ、そこ?」
と、言うと
「だって、大事じゃない。
聞いてもよい?」
と、言う松坂さんに何でも
素直に答えようと思い頷くと
「まだ、彼が忘れられない?
俺の事は、なんとも思ってない?
亜季が可愛いだけ?」
と、悲しそうに訊ねる彼に
「彼?一瀬さんについては
なんとも思っていません。
あんな事をしても自分に振り向かせ
ようとしたのに。
本当になんとも思っていない
私は、なんだったのでしょうね。
亜季君は、本当に可愛いです。
松坂さんには·····
東吾さんの事は好きです。
気持ちがなければ
一緒にいませんよ。」
「本当に?本当?
俺、真澄も真琴も亜季も
大事に大切にする。
だから、四人で幸せになりたい。
俺と結婚して貰えませんか?」
と、言われて
結婚·····今まで憧れていた言葉。

もう、真琴と二人で生きて
いけたら良いと思っていた。

二度と結婚に憧れてはいないと·····
涙がポロポロ落ちて行く

私を心配しておばあちゃんが
二人を近くに連れてきていて
真琴と亜季君が
私の両足に抱きつく
そんな二人を下に座り
抱き締めて
「ありがとう。でも悲しくて
泣いてるんじゃないの。
嬉しくて·····」
と、言うと
私達三人を東吾さんが
抱き締めたから
皆で苦しいと笑ってしまった。

おばあちゃんは、そんな私達を
嬉しそうに見ていた。

私達は、家に戻り
四人で話をした。

真琴には、東吾さんがパパになること
亜季には、真澄がママになることを
二人は、すごく喜んでくれて
私も東吾さんも顔を見合わせて
微笑んだ。

真琴と亜季と東吾さんは、
三人でお風呂に入り
私は、食事の準備をして
皆で食べてから
ゆっくりと
一人で入浴をさせてもらった。

二人が寝てから
私達は、今後の結婚の話をした。

東吾さんは、自分の両親と
亜季のお母さんのご両親に会って
欲しいと言った。

もちろん、私の両親には、
娘さんをください。
と、お伝えするよ、と。

次の土日で東京に戻る事に
なった。

全てがうまく行くと良いけど····

その日、私と東吾さんは、
初めて結ばれた。
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