諦 念

▪▪入籍···④


私の両親は、泣いて喜んでくれた。
二人ともすごく心配していたみたいで

全てを話して
受け入れてくれた、東吾さん。

東吾さんの奥様についても
両親に話をした。

東吾さんは、
「元妻(明恵)より
真澄や真琴、亜季が大切で
自分にとって、居なくてはならない
人達です。
真澄の事は、私を救ってくれた
女神で愛しい存在です。
必ず四人で幸せになります。」
と、言ってくれた。

亜季のお母さんなんだから
大事に思っていて
当たり前なんだが。
東吾さんの言葉は嬉しかった。

奥様を亡くして
身内もいなくて
亜季を育てる事と仕事に
行き詰まっていたと
何もかもいやになっていたと
話す東吾さんは
とても苦しそうだった。

でも、あの日、あの時間に
旭山動物園に行ってなかったら
私達は、出会えていない。

縁?とは、不思議なものだ。

亜季は、私の両親にもなついて
真琴と二人に引っ付いて
笑いあっていた。

東吾さんの両親は、
東吾さんの笑顔と
亜季の笑顔に驚いていて
「真澄さんと真琴ちゃんのお陰ね。」
と、喜んでくれた。

疲れはてて、両親にもあたっていた
と、東吾さんは話してくれた。

ご両親も、すごく心配していたのだと
話してくれた。

亜季が私と真琴に
くっついているから
「本当の親子みたいだわ。」
と、お義母さん。

私と東吾さんは、
婚姻届を記入し
私の父と東吾さんのお父さんが
証人になってくれた。

四人で市役所に行き
届けを出して
真琴も亜季も私達の子供となった。

私と真琴は、
田中から松坂へと変わった。

「なんだか、不思議ね。」
と、真琴と笑いあった。

これから、亜季のお母さんの
ご実家にご挨拶に行く。

すごく緊張していたら
東吾さんが、ギュッと
手を繋いでくれたから
東吾さんを見上げると
にっこり笑って頷いてくれた。

東吾さんの亡き奥様の
ご両親は、亜季を心配して
亜季を引き取ると
言ってこられた。

だが······
「ご心配は、良くわかります。
ですが、亜季は東吾さんが好きです。
引き離すと言うのであれば
私が身を引きます。
亜季にとっても
東吾さんにとっても
お互いがいない存在には
出来ないと思いますから。
ですが、その中に私も娘も
入れて頂きたいと思っています。
娘さんに代わり、亜季を大事に
大切に、自分の息子として
娘と同様に育てて行きます。
どうか、私にお任せ頂けないでしょうか?」
と、頭を下げると
亜季が
「ママっ」
と、抱きついてきたから
「大丈夫だよ。亜季を離したりしない。」
と、言うと
亜季を抱き締める、私を真琴が
抱き締めて、それを東吾さんが
また、抱き締めるから
「「「苦しい。」」」
と、皆で笑った。

奥様のご両親は、
そんな私達を見て
「「亜季を宜しくお願い致します。」」
と、頭を下げてくれた。
「いつでも会いに見えて下さい。」
と、お伝えして帰宅した。

東吾さんの実家に戻り
宿泊して、翌日は、私の実家に
泊まって遊園地や動物園に
両親達と行って楽しんでから
北海道に帰った。

結婚写真も皆で撮って
真琴は、お姫様みたいに
亜季は、王子様みたいにしてもらった。

東吾さんと亜季が
私の家に越してきて暮らしている。

間もなく、東吾さんは、
転勤となるらしいが
それまでは、此処に居たいと
私がお願いした。

亜季は、真琴と同じ幼稚園に通い
私は、スーパーで働き
東吾さんは会社勤め

変わらない生活だが
四人で、本当に笑いあって
過ごしている。

亜季のお母さんのお墓にも
きちんとご挨拶させて頂いた。


入籍から二年·····

私達は、千葉へと引っ越した。
東吾さんの異動で
東吾さんは、課長となり
毎日忙しそうだ。

真琴は、小学校に上がり
亜季は、幼稚園の年長さんとなった

二人とも、とっても仲が良い。

更に····

「ただいま。」
「「パパ、お帰りなさい」」
と、二人に出迎えられて
嬉しそうな東吾さん。

で·····
「あっ、何やってんの?」
「ん?料理運んでるの。」
「だから、良いから、座っていて。」
「だから、東吾さん、病気じゃないから。」
と、言うと
二人は、また始まったと言う顔をして
ニヤニヤしながら見てる
「だって、二人の面倒みて
家の事やって、疲れるよ。」
「大丈夫だよ。
二人は、手がかからないし
二人とも、お手伝い沢山してくれる
から、助かってるの。」
と、言うと
東吾さんは、二人をみる。

二人は、笑っているから
「ごめん。お手伝いしてくれてるのに。
ありがとう。真澄をママを助けて
くれて。」
と、頭を下げる。

二人は、そんな東吾さんが
好きだ。
間違っていたら、子供だろうが
ちゃんと謝る。
お礼もちゃんと伝える。

東吾さんは、そんな人。

私のお腹には赤ちゃんがいて
どうやら男の子みたい。
真澄も亜季も、とっても楽しみに
してくれて、沢山お手伝いを
してくれる。

本当に優しい子供達で私の自慢である。

お腹の赤ちゃんも
お姉ちゃん、お兄ちゃんを
みて育って欲しいと
思っている。

大きな、大きな過ちを犯した
私に······沢山の幸せを
本当にありがとうございます。

自分がやった事は、
生涯忘れる事なく
生きて行くつもりだ。

栞菜さんを初めご迷惑をおかけした
人達の事は決して忘れない。
< 47 / 49 >

この作品をシェア

pagetop