蒼春

fourth

乃蒼side

あれから2週間たった。

最初の頃に比べれば、だいぶ仕事にも慣れてきた。

しかも、一ノ瀬先輩が話しかけてくる頻度も上がっているように感じる。1日に最低1回は近くに来て、

「乃蒼ちゃん、それはこうした方がいいよ。こっちはこうだよ。」

「乃蒼ちゃーん、突き指した…。」

「乃蒼ちゃん、ドリンク終わっちゃったから作っておいてー!」

「乃蒼ちゃん、いつもありがと」

と私の目を見て笑顔で言って、うれしそうに去っていく。徳島先輩がいたとしても絶対私に言ってくるのだ。

徳島先輩にも『なんか乃蒼ちゃん、蒼生に懐かれてるわね…。』なんて言われるほどだ。

…私、なんか懐かれるようなことしたっけ?いや、まず懐かれてるって言っていいのかな。

そんなことを思いながら仕事をしていた。

正直、先輩に話しかけられるのを楽しみにしている自分も居た。

しかも、最近なんだか先輩がよく視界に入る気がする。いや、私が見てるのかな。

先輩を見るとなんだかフワフワした感覚になったり、

今日はボールに空気をいれようと思っていつもより2本早い電車で学校に来た。職員室で体育館の鍵を借りようとすると既に借りられていた。

あれ、徳島先輩来てるのかなぁ。

そう思って急いで体育館に向かうとボールの音が聞こえてきた。

誰だろう…。

入り口のドアの隙間から中を覗いてみると、そこにいたのは一ノ瀬先輩だった。

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