死にたがりな君と、恋をはじめる
私が死にたい理由

選べるなら即死で頼む

「……さようなら」


そう呟くと、胸がきゅうっとなった。





私はこのろくでもない世界に未練でもあるんだろうか。



人は死にたい死にたいとは言っても、やっぱり実際は怖いらしい。





屋上の淵に座って、足をぷらぷらと揺らした。




月明りに照らされた校舎を屋上から見下ろし、ふっと笑う。




髪ゴムを解くと、ふわりと髪が風になびいて、

その自由な様子に、少し気が楽になった。






日中のじめじめとした気候が嘘みたいで。




緊張で火照った頬に夜風が気持ちいい。





今日で最後だし、最後に学校探索でもしようかな。




そう思い立つと、さっさと立ち上がり、スカートの汚れを叩いた。




残された時間はどうせ少ないんだ。大事にしよう。






それからは、学校のあちこちを見て回った。

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