死にたがりな君と、恋をはじめる

変わらない日常


『おはよう、奈月。よく眠れた?』


「・・・うぅ」






目覚めてすぐ、至近距離で黒い瞳が見えて、小さくうなってしまう。









あくびをしつつ、うっすらと目を開けると、


目覚まし時計もとい、レイがにこりと爽やかな笑みを浮かべるのが目に入る。









私はしばしばとする目をこすりつつ、そいつを睨みつけた。









最悪の目覚めだ……。





なんで朝からこいつの顔を拝まないといけないんだ。











……いや、整った顔立ちではあるから、別に目に毒って程ではないけど。








レイの顔を見るとなんとなくイラついてしまうのは許してほしい。






……はー……。

現実を見たくない。






目が覚めたら、私は死んでいて、レイと会ったことも、全部夢だったらいいのに。









……なんて、実は思っていたりしたんだけど。






その願望も早々に打ち砕かれた。

< 15 / 136 >

この作品をシェア

pagetop