【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

8話 ゆめがたり笑止千万

 マリアとレイノルドは、話しかけてきた男とともに個室へと入った。
 革張りのソファが置かれた室内には、酒が飲めるカウンターがついているが、人払いをお願いしたのでバーテンダーはいない。

「それで、さっきの話だが――」

 スート商会の副社長と名乗った男は、上り調子の業績はすべて自分の手柄だと語った。
 自称・先見の明がある彼が次に目をつけたのが『魔法』。タスティリヤ王国で、誰でも魔法が使えるようになれば人々の生活が豊かになる、と思いついたらしい。

< 61 / 354 >

この作品をシェア

pagetop