許されるなら一度だけ恋を…
京都での一夜
今から胸が高鳴っているせいか、この日はなかなか寝付けずそのまま朝を迎えた。

色々準備もあり、昼過ぎに京都へ向かう事になった。父から預かった手土産をキャリーバッグへ入れて準備は終わりだ。

蒼志に連絡を入れて、呉服屋の仕事も月曜日まで休ませてもらった。申し訳ないと思いながら連絡したら、元々不定期出勤なんだから気にするなと言ってくれた。

「じゃあ行ってきます」

玄関まで見送りする父に挨拶をして、私と奏多さんは京都へと向かう。

タクシーで駅まで行き新幹線に乗り込む。目的地の京都までは2時間30分くらいかかるみたいなので、座席に着きゆっくりする。

「桜さん、昨日は寝れましたか?」

「いえ、何だかソワソワしてしまってあまり眠れませんでした」

「実は僕もです。同じですね」

隣同士に座っている私達は、顔を見合わせてクスッと笑った。何だか久しぶりに奏多さんと普通に話が出来てる気がする。表面上には出さないが、内心テンションが上がっていた。
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