王子と姫の狂おしい愛
次の日の朝。
「おはようございます、椿姫様」
カーテンを開けながら、挨拶する二階堂。
「おはよう……」
昨晩のことがあり、二階堂を見れない。

「椿姫様、僕はあなたを琥珀様から奪おう等と思っていません。
僕の願いは、椿姫様が幸せになることです。
あなたが幸せになってくれるなら、何でも致します。
ただ覚えておいて下さいね………?
あなたを傷つける人間は、例え誰だったとしても……
俺が赦さない………」
ベットの下に跪いた二階堂が、椿姫をまっすぐ見上げ、力強い声と表情で言った。

「えぇ…」
心なしか、椿姫は震えていた。
椿姫にとって、琥珀以外の男に触れられることは恐怖だった。
琥珀だけではない。
椿姫だって、琥珀を狂おしい程愛しているのだから。

「そんなに怖がらないで下さい。
もうあんなことしませんから……
申し訳ありません。
椿姫様が傷つけられたのを見て、止まらなくて……」
「でも、あれはわざとじゃないわ。
事故みたいなものよ。
昨日話したでしょ?
二階堂もお母様も、大袈裟よ……
フフ…お母様なんて、先生を呼ぶなんて言い出すし(笑)」
「それだけ、椿姫様は皆様に愛されてるんですよ」
フワッと笑う、二階堂。

「あ…その笑顔……」
「え?」
「二階堂のその笑顔見ると、安心するの。
子どもの時から、いつも私の傍にいてくれたでしょ?
心配事とか、不安な時いつもフワッて笑って、支えてくれた。
パパは仕事ばかりだし、ママは過保護で息苦しくなるし。
琥珀に出逢うまで、二階堂がいてくれたから生きてこられたから」
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