地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

文化祭

 それからの三週間は怒涛(どとう)の勢いで過ぎて行った。

 展示品などの用意も本格的に始まったし、あたしも皆のメイクにアドバイスしたり。
 クラスの皆が一丸となって準備をする。

 それは陸斗も一緒だったみたいで、コスプレをするのはちょっと抵抗があったみたいだけれど準備は結構積極的に手伝っていた。


「陸斗、楽しそうだね?」

 帰り道、聞いてみると陸斗は驚いたように瞬きをした。

「そう、見えるか?」

 逆に聞かれて、あたしは「うん」と答える。


「もちろん忙しそうで大変みたいだけど、何だか生き生きしてる感じがするもん」

「そうか……。ああ、そうかもしれねぇな」

 そう言って自分が楽しんでいることを自覚したらしい陸斗は、笑みを浮かべた。


「中学の文化祭は怖がられてたし、最初から準備とか当てにされてなかったからな……。でも、こういう準備って楽しいものだったんだな」

 初めて知った、と言った陸斗は優しくあたしを見下ろす。
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