地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「お前のおかげだな、灯里」

「え?」

「怖がられてても別に平気だと思ってたけどよ、あのままだったらこんな風に楽しく準備とかも出来なかっただろうからな」

「いや、でもそれは寧ろ美智留ちゃんのおかげなんじゃ……」

 クラスの皆に呼びかけたのは美智留ちゃんだ。

 あたしはお願いを口にしただけ。


 でも、陸斗は「お前のおかげだよ」と言って訂正しなかった。


「お前が夏休み中頑張ってメイクしてたからあいつらがお前のファンになって、ファンになったからお前の一言だけで俺を怖がるの止めたんだ」

 スゲェよな、と言う陸斗から視線を逸らし微妙な表情をしてしまう。


「ファンって言うのが、未だに信じられないんだけれど……」

 あたしはただ楽しくメイクしただけだ。

 それなのに人気者になるとか訳が分からない。


「でも実際にメイクしてる時の灯里はカッケェし、俺は気持ち分かるけどなぁ? (ほこ)っていいことなんだぞ?」

 その言葉にあたしは困ったように眉を寄せて彼を見上げる。
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