◇3◇ *SIDEレナ* 原因不明のドキドキの理由は。




「レナさん、レナさんってば…!」

「んあ?!」

ボンヤリとパソコンの画面を見つめていると、耳元で自分の名を呼ぶ大きな声が聴こえる。

同僚の女性社員が不思議そうに私とパソコン画面を交互に覗き込む。  「パソコン暗転してますよ」と冷静なツッコミを入れられる。

仕事をしている振りをして考え事をしていたのがバレてしまう羽目になった。  手に持っていた資料はチェリーチョコレートカンパニーの新製品であるお菓子の資料だった。

「どうしたんですか?ボーっとしちゃって。レナさんらしくないなあ」

「ごめん、ごめん。ちょっと色々ね。」

「色々ですかあ…。どこかご旅行にでも行かれるんですか?」

ディスクの上には「夏の行楽シーズン到来!関東ガイドブック」が携帯と共に並んでおいてある。

彼女はちらりとその雑誌へと視線を落とした。 慌ててノートパソコンの下にその雑誌を隠すが、時すでに遅し。

女性社員はニヤリと笑って私へと資料を渡す。