愛の距離がハカレナイ
19
その日からそろそろ一週間が過ぎようとする頃。

今日は南川課長が珍しく有給休暇を取っていた。

「あの仕事の鬼がね~。何か言っていた?」

香澄が緩んだ顔を見せる。

「ううん、理由は別にこっちも聞かないし、南川課長も何も言わないし。」

そう言いながら私は立ち上がった。

「あれからなるべくプライベートの話はしない様にしている。」

香澄はそんな私の様子にニッコリと笑う。

「じゃあ、私の担当の会社に行って来ます。」

昨日アポの連絡をもらった時、南川課長が行けない事を伝えたが、先方は私だけでも良いと言ってくれたのだ。

「一人で行くって初めてだね。もう立派な営業さんね。」

香澄の茶化すような言葉に、私は肩を落とす。

「まだまだよ。今回はたまたまよ。」

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