愛の距離がハカレナイ
5
「阿里、今晩水島と家に来る?」

朝一番から香澄が声を掛けてくれた。

「ああ、私は大丈夫だけど…。」

「さっき水島と話した。阿里が大丈夫なら篤志にも連絡しておく。」

私は周りをぐるっと見渡す。

今朝は出社したらすぐに顧客との打ち合わせに出掛けると言って、私より先に家を出た祐介の姿はもうなかった。

「恐ろしく眠そうだったけど、恐ろしく機嫌が良かったわ。」

香澄はとても楽しそうに、私を茶化した。

「一緒に出社はしなかったみたいね。」

私は苦笑いしてうなずくと、二人分のコーヒーを用意しに行った。

「はい。」

その一つを香澄に手渡す。

「ありがとう。」
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