友達作りは計画的に

斉藤さん



そんな斉藤は、クールそうな見た目と裏腹に何か目ぼしいお店を見つけると周りを気にせずに「あのお店どうかな? 行ってみよ」とニコニコと楽しそうに岡崎と腕を組むようにして引っ張るのだが、岡崎からしたら斉藤に彼氏がいるのはわかっていて、彼女からしたら特に意識した行動ではないその何気なくされた事ですらドキドキしてしまい一人で変に意識してしまっていた



『ぁぁ……やっぱり斉藤さん可愛い
これで意識しないでおくってのは無理だ
でもこういうのって相手が可愛いと超楽しい』



特にどこか遊びに行くわけでもないし岡崎からしたら探し歩くのは面倒だと敬遠がちだったのだが、相手が斉藤なので岡崎は気持ちの中ではデートをしているような気分で彼女に付き合って気分良くお店を探し歩いていると彼女は突然言った



「岡ちゃんてさ、童貞じゃないんだよね?」

「はあ? いきなり何聞いてんの?
て言うか一人でも下ネタぶっ込んできてるし」


「ハハハハハッ
だってさ、家族構成とか聞いてもつまんないし興味もないし~
元カノの事は前に聞いたし……って考えてたらそこにいきついただけ~」


「欲求不満?」


ケラケラと明るく言う斉藤だが、これ以上自分が動揺をするとまた面白がって変な質問ばかりされると思って反撃の意味で言うと斉藤は半笑いになり岡崎を見た


「…………まあね」


「ブッ 何ストレートに返事してんの?
彼氏いるんでしょ?」


彼氏はいるが高校も違うしお互いに部活の練習があってあまり会わないらしく、エッチもほとんどしていないようで本当に欲求不満ではあると照れ隠しに笑いながら言った


「そっか 
……て言うか斉藤さんて部活やってたの?」


「はあ?知らなかったの?
前に言わなかったっけ?
だって私新体操の特待生だもん
そりゃ部活やらないとマズイっしょ」


「ウソ? 特待生?
全く知らなかった
そんなに凄かったんだ?
何部?」



新体操部は県内でも1、2を争う名門校なのは知っていたが、まさか毎日遊び歩いていると思っていた斉藤がその特待生だとは知らずに話していたら、なんと彼女は中学では全国大会で入賞までしていた実力者らしい



「凄げ~ ちょっと見直したよ」


「アハハハハッ
毎日遊び歩いてると思ってたんでしょ?
仲良しな優香里も特待生だもん
あの子がギャル寄りだからあのグループといるってだけだよ」



新体操部は週3は全体練習なので強制参加だが残りの練習日は自主連みたいな感じらしく、一応先生は出席していて先生にお願いすれば教えてもらえるのだが基本的には幾つかのグループに分かれて各々が弱点克服や先輩から指導をされたりなど本当に自主的な練習らしく、斉藤とは別の体育会系の先輩達のグループはかなりピリッと引き締まった空気で練習をしているようだ


「私は緩めの先輩達と和気藹々とやってるからいいんだけどさ、あのピリピリした空気で毎日練習してるグループに入らなくてマジで良かったよ」



「良かったね
ノビノビやった方が伸びるもんね
斉藤さんてスタイル抜群だからレオタードが超似合いそう」


「ブハハハハッ
絶対言うと思った~
完全にエロ目線
岡ちゃんのオカズにされるから絶対に見せない」


「え~ 写真見たい!」


「嫌じゃ!
写真渡したら色んなシミを付けて返されそうだもん」


「俺をどんな人だと思ってんのさ……
ちなみに180度開脚ってできる?」


「超余裕~ 普通に180度以上開くしI字バランスもできるよ」


「マジか
本当に凄いじゃん」


「あっ そう言えば聞きたかった事を思い出した!
て言うかさ、岡ちゃんて本当はメッチャ強いらしいじゃん
何で特待生断ったの?」



違うクラスに行った時にそのクラスにいた柔道部員とも話していたらしく彼女は前からその事を聞きたかったようだが、岡崎は気分で練習を休んだりするのでしつこく聞くとさらにやる気をなくして練習にすら出なくなる可能性もあるから出来れば聞かなかった事にしておいて欲しいと言われたようだ

そしてナッチーや富田がいると諦めが悪く絶対弄りながらしつこく聞くだろうから、それもあって二人が絶対に来ないこのタイミングにしたようで彼女は少しどや顔をしながら言った



「ね! 一応考えて今日にしたんだから、内緒にしとくから教えてよ
とりあえずちょっとそこの公園で座って話そうよ」



自販機で飲み物を買い、多少遊具はあるがサラリーマンの憩いの場のようなベンチが多めの公園に入り、長いベンチに岡崎が座ると肩が触れ合うくらい近くに斉藤はくっつくように座って話の続きをしていた
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