私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

9.事件の早期解決には持ってこい







大きめのお鍋からはグツグツと音が立ち、甘塩っぱい香りがフワリと漂う。中には野菜類やお肉やらいろんな食材が黒い液体の中で煮立っていた。

これは「すき焼き」という料理らしい。

黒い液体の正体は……お醤油?!



「えっ?お醤油って、最近夜叉王領で開発された美味しい調味料って、噂の……!これが?これが?こ、高級品よ!……この四角い物体、ひょっとして豆腐?これも!」

「はぁ?醤油と豆腐が高級品?しかも開発って」

「きっとその領地に住んでる誰かが、人間界の誰かと繋がりがあって、こっちの世界で作ったんだろ。竜樹みてえな?ガーディアンっつったっけ」

「人間界?」

「人間界のメシ、マジうまだから。月輪界では人間界のメシが主流なんよー!缶ビールも」

「へぇ……」



そんな人間界メシ、すき焼きは予想以上の味だった。お肉の脂が口の中でとろけて、なんとも言えない至福だった。

お鍋を囲んで、私たちは談笑しながら食事をする。

人との距離が近い食事は、鳩槃茶の大兵士団にいた頃以来かもしれない。



「でさぁ、舞空?……どんな盛大なざまぁする?」

「……」

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