「主、ちょっといいか?」

 サージの馬に乗せてもらって戻ろうとしていたら、シドが声をかけてくる。

「なぁに?」
「瘴気の出方がおかしい。注意をした方がいいかもしれない」
「どういうこと? 自然発生するものじゃないの?」

 今回の件があるまで、瘴気についてよく知らなかった。
なんとなくどこかで発生し、動物を魔物化させてしまうから神官によって浄化してもらわないといけないという程度の認識だった。

「こんなに短期間に、これだけ近くで発生するってことはまずないんだよ。人為的に発生させられている可能性も考えた方がいい」
「人為的に発生……って、そんなことできるの?」
「やろうと思えばできる――そうだな、動物が瘴気を吸うと魔物になるだろ? それは、人間やエルフやドワーフも同じなんだよ。知性を持っている魔物のことは、魔族と呼んで区別することの方が多いな」
「そうなんだ? リーゼ、全然知らなかったよ!」

 たしかに、動物が瘴気を吸ったら魔物になるのだから、人間やそれ以外の種族が瘴気を吸った場合に、別のものに変化するということも考えるべきだったかもしれない。