独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「こちらこそよろしくお願いします。おふたりの結婚式なら超一流デザイナーが衣装を作るのが当然のところ、私に依頼してくださり本当に光栄です」

数日前、透哉さんからウエディングドレスのデザイナーについて希望があるかと確認されたとき、『特になければ彼女に任せたい』という話だったので、私が『ぜひ』と承諾した経緯があった。

「オーダーをいただいたからには、どんなデザイナーにも負けない素敵なドレスを作りますからね」

玲於奈さんは自信に満ち溢れているキラキラした女性だった。手に職をつけ成功し、自立している女性はかっこいいなと思う。

「ありがとうございます。どんなドレスができあがるのか、今から楽しみです」

「私も楽しみです。では早速、あちらの個室で打ち合わせしましょう。透哉もどうぞ」

透哉、と気安く彼を呼び捨てにして、玲於奈さんは彼の背中に触れた。

その瞬間、私の心臓はドクンッと嫌な音を立てる。

でもふたりは大学時代からの友人なのだから、これくらいでいちいち気にするほうがおかしかった。

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