独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「今日ここに来たのはね、あなたにいくらかお金を用立ててもらえないかお願いしたかったからなの」

しかも母は私をさらに絶望に追いやる言葉を口にした。

「え……?」

「借金の返済もまだ少し残っているし、ほしいものがたくさんあるのよ。今まであなたのために我慢してきた反動かしら? また透哉さんのご両親に要求してもいいのだけれど」

「それだけは絶対にやめて!」

私はとっさに叫んでいた。

彼の両親とは先日和解したばかりなのに、そんなことをすれば今度こそ見限られてしまう。温情をかけてくれた彼らを二度と裏切りたくはない。

それに一億円でも足りないほど借金が残っていたなんて、一体我が家はどうなっているのだろう。平然としている母が信じられなかった。

私は慌てて自室に向かい、あの二百万円が入った封筒を母に差し出す。

「どうかこれで透哉さんのご両親さまにはお金の無心をなさらないで。お願い」

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