今は秘書の時間ではありません

社長が吠える

会議が始まると上座に社長、副社長、専務が着席する。

何度も聞いたリゾートホテル計画について話が始まり出した。

俺は即座に話を切る。 

「この計画については何度も聞いた。今日も同じではないだろう。新着状況について話してくれ。あと、秘書に資料の追加を指示したが届いていない。どういうことだ?」

チャラチャラしていた俺が発言をし始めたことに驚きを隠せない開発チームの面々。
 
「黙っていてもわからない。資料はどうした?社長の俺が言うのに用意できてないのか?俺の要求より先に優先されるべきことは何?時間もあったし、今回はそんな大変な資料を要求してない。」

沈黙が続く。

「そもそも今日の会議は何のため?この前聞いたこと以外あるの?君たちから渡された資料はここ数回ともほぼ変わってないけど。俺のだけ資料が足りないのかな?なのにも関わらず土地買収や建築関係への着工の印鑑押させる気?」

みんなの目が泳ぎ出すが俺は続ける。

「あのさぁ。こんなんでいいと思ってるの?仕事しにきてるんだよね?会社潰しに来てるの?この計画みてハンコ押す人いないでしょ。このホテル本当に作りたいの?何のために?」

誰も発言しない。
発言できない。
私にはこの後の顛末が予測できないでいた。

「黙ってるって子供じゃないんだから、どういうことなんだって聞いてるんだ。毎回この資料をどういうつもりで渡してきた!いい加減にしろよ。」

だんだんヒートしてくる社長に押し黙るしか出来ずみんな頭を下げている。

「専務が事業発案者ですよね。専務のビジョンをお聞かせ願いたい。」

「いや…私は開発から提案されていいと思っただけなので…。」

「そのいいと思った提案はどれですか?開発は俺にはその提案をしてくれないってことですか?」

「いや…え、と…」

いくら叔父とはいえ専務である限り責任者だ。
甥の俺にみんなの前で恥をかかされるとは思っていなかっただろう。
でもそうはいかない。 

「開発は?おれにもその魅力的な提案とやらをしてくれ。」

「…」

「今日は解散。3日後また会議する。その時までに今後どうするか考えろ!」

資料を机に叩きつけ、部屋を後にする。
私はあわてて社長を追いかけた。
< 39 / 108 >

この作品をシェア

pagetop