どうにもこうにも~出会い編~

雨の日の帰り道

 「いらっしゃいませー!」

 私は大学1年の春からずっと、大学に一番近い駅から徒歩10分ほどのところにある居酒屋でアルバイトをしている。喧騒から離れた路地裏にひっそりと佇む個人経営の小さな居酒屋だ。

 「ケイちゃん今日もいい笑顔だねぇ~!いつものやつお願いね!」

 このあたりでは隠れ家的居酒屋と言われているらしい。だいたいこの居酒屋に来るお客さんは顔なじみだ。ここでアルバイトをし始めて今年で丸3年が経とうとしている。3年も働いていれば常連客も、彼らが頼むつまみや酒の種類もすっかり把握してしまうものだ。


 ガラガラガラ…。


 「いらっしゃいませー!」

 あ。

 多くの常連客の中に、気になるお客さんがいる。仕事帰りと思われる30代半ばと思われるビジネスマン。お店に来るのは不定期で、2週間以上来ないときもあれば1日おきに来るようなときもある。

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