どうにもこうにも~出会い編~
「ケイちゃん、あそこの座敷のお客さんたち帰ったらケイちゃんも帰っていいよ」
 
 炊事場に戻った時に大将がこそっと耳打ちした。
 
 「え、まだ早い時間ですけど。いいんですか?」

 「うん、今日は客足があまり良くないみたいだからねぇ。雨模様だし」

 「雨?」
 
「そうだよ。ケイちゃん天気予報見てなかったのか?まだ小雨程度だから、本降りにならないうちに帰んな」

 「はい、ありがとうございます」
 
 ありがたいことに、座敷のお客さんたちはすぐに帰っていった。
 
 「じゃあ大将、お先に失礼します」

 「おう。気ぃつけてなー」

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