愛され、囲われ、堕ちていく
遊戯
マンションのエントランスに出て、車に乗り込む伊織。
ゆっくり走り出す車。
「伊織、煙草!」
「ん、サンキュ」
敬太から煙草を受け取り、吸い始めた。
車の天井に向かって吹きかける。

「あと、コレ!郵便受けに入ってたよ」
敬太は毎日伊織を迎えに来た時に、郵便受けを確認してくる。
凪沙に関する郵便物だけ抜き取り、伊織に渡す。
それ以外は伊織を迎えに行った時に、凪沙に渡すのだ。
「ん」
咥え煙草で全て確認する。
「………同窓会…?」
郵便物の中に、ハガキを見つける。
凪沙の中学の時の同窓会のお知らせのハガキだ。
そのハガキを見て、一気に機嫌が悪くなる伊織。
伊織はチッ…!と舌打ちをして、ハガキに煙草を押しつけた。

「あとさ…」
「あ?」
機嫌が悪い為、今にも敬太に飛びかかりそうだ。
「最近の事務所荒らしだけど、白王の連中じゃなくて深木だった」
「アイツか…
まぁ…白王はこんな卑怯なことしねぇから、違うとは思ってたけど…!」
「まぁな…
で、どうする?パパはほっとけっつてるけど…!」
「なんかむしゃくしゃしてるし、ストレス発散に殺るか!」
「深木…運、わりー(笑)」
深木の事務所へそのまま向かった、伊織だった。

事務所に入ると、深木の部下が一斉に立ち伊織に挨拶した。
「若、お疲れ様っす!どうしたんすか?」
「深木は?」
「まだ来てません」
「ふーん、じゃあ…ここで待つ。早く連れてこいよ!」
そう言って、ソファーにドカッと座った。
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