13番目の恋人
「そういえば、うちの祖父母も、両親も、兄もお見合い結婚ですが、とても仲良しで幸せそうです」
私がそう言うと、万里子さんが頷いた。

「小百合ちゃんにも、いいご縁があるといいわね」
「……一度自然な恋をしたくて、その、例えば、ですよ。例えば、ですからね。オフィスラブ……同僚とかそんな憧れもあって」

子供っぽいと思われるるだろうかと前置きして言ったが

「……わかるわ、それ」

まさかの同意された。そして、

「でも、小百合ちゃんはまわりから敬遠されるタイプだものね」

その、会社の中でも、秘書だと言うことを除いて、敬遠されている自覚もなかったことに、またしても少しショックを受けたが、私ってそうなのか。私が誰の知り合いか知らなくても、そうなのか。がっかり。

「そうなんですね、週明けからにこにこ愛想よく頑張ります!」

そう言った私になぜか万里子さんは複雑そうに笑ったのだった。

──その日、散々付き合わせたにも関わらず、万里子さんは

「楽しかったわねぇ!」と、ご機嫌だった。
「今度は、普通のショッピングしましょ」とも言ってくれた。私も、とても楽しかった。

テーブルは天然木で作られた80センチの物を購入し、後日届けてもらうことになった。

いつか、恋人と。いいえ、直ぐにでも、恋人と使えるように。
 
少し気が軽くなったのだと思う。万里子さんまでお見合いで結婚する。意外だったけれど、お見合いに対してのハードルが下がったのと、もし自然に恋愛が出来なかったとしても、お見合いも悪くないんだって、思わせてくれたから。
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