きらめく星と沈黙の月
念のためエチケット袋はすぐ取り出せるようにしてあるけど…こんな男だらけの場所で吐きたくないだろうな……。


「齋藤先生!サービスエリア寄ってくれませんか?」


「はぁ?呑気に寄り道してる暇はねぇ!」


顧問の齋藤先生は、少々口が悪いし厳しいけど、優しくて人情味溢れる先生だ。


何だかんだで、碧の発言に耳を傾け、運転手さんに掛け合ってくれている。


「だいたいお前は何回トイレ行くんだよ」


「いいじゃないっすか。何事も思い立ったら即行動って先生が言ってるじゃないですか。そういうことっす」


「俺の教えをトイレに適応すんじゃねぇ」


碧のおかげで、なんとかサービスエリアに停まってもらえて、陽菜を外に連れ出すことができた。


特有の嫌な匂いを発するバスから離れ、近くのベンチに座らせる。


「どう?ちょっとは楽になった?」
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