恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
5.幸せな週末
***

「キャメルコーポレーションからイベントの連絡が届いていますが、出欠はいかがなさいますか?」

 私は副社長室でタブレットを片手に、秘書としてスケジュールを調整していく。

「それっていつ?」

「再来週の金曜で十五時からです」

「行くよ」

 会議や他の予定はなかったはずだから大丈夫だろう。
 目を凝らして確認していると、「莉佐も一緒に」と念を押すような言葉が耳に入ってくる。

「その日、終わったらふたりで食事して帰ろう」

 デスクの上に両肘をついて手を組み、機嫌が良さそうな笑みを見せる彼と目が合った。

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