導かれて、放れられない
朝日が昇ってカーテンから朝日が射し込み、天聖が目を覚ました。

「ん…フフ……」
腕の中にいる桔梗を見て微笑む。
寝顔まで愛しい。

桔梗の右耳に触れる。
どうしても触れてしまう。
確認したくなる。
桔梗が自分のモノだと……
「んん…」
あまりにも天聖が耳に触れる為、桔梗が眉間にしわを寄せ目を覚ました。

「おはよ、桔梗…」
「あ…天聖さん!」
キュッと天聖の胸に顔を埋める、桔梗。
「ん?どうした?」
「夢…見ちゃって…
また、引き裂かれる夢……」
「大丈夫。言ったよね?もう、二度と放さないって……!」
頭を撫で、ゆっくり語りかけるように話す天聖。
「はい…そうですよね……」
「そうだよ、絶対…放さねぇ…」

起きてリビングに向かうと、増見が朝食の準備をしていた。
「おはようございます、若、桔梗さん」
「おはよ」
「あ、増見さんおはようございます!
私がしますよ。食事の準備」
「いえ、これも俺の仕事なので……」
少し微笑んで言う、増見。

「━━━━━!
桔梗、おいで?座ろ?」
「え?あ、はい」
「桔梗は何もしなくていいからね。家のことは全て増見がするから」
「え?家事まで増見さんがするんですか!?」
「はい、それも仕事です」
増見が料理をテーブルに置きながら、言った。

「だから桔梗は俺の傍にいて、愛されてるだけでいいの。わかった?
言っとくけど、愛される覚悟ちゃんとしておかないと大変だよ?」
「は、はい」

そして桔梗がクローゼットに着替えに向かうと、天聖が増見に言った。
「お前さぁ」
「は?」
「楽しそうだな」
「何がでしょう?」
「…………別に」

基本的にはポーカーフェイスの増見。
その増見が桔梗に微笑む。
それは、天聖の心をざわつかせるのに十分だった。


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