冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
電気のついた部屋に帰ることが、温かいご飯が出てくることが、こんなにも嬉しいと思わなかった。

玲奈には家事をしなくていいと言ったが玲奈は家事をしたいと言っていた。
本人が希望するなら、と軽い気持ちでお願いしたが俺は思ったより快適なこの生活を手放せなくなりそうだった。

朝持たせてくれるおにぎりは毎日具が違い俺が飽きることのないようにしてくれている。前日に飲んだ時は必ず梅干しが1個入っている気配りも素晴らしい。

夕飯も毎日家庭的なものだが健康的で体に良さそうなものばかりが並ぶ。お陰で体調がすごくいい。
好きなものばかり食べていた俺は考えさせられるようだった。

たまに過ごす夕飯の後の時間も正直楽しくて仕方なかった。
いや、そんな特別な話はしていない。
けど、玲奈は俺の気持ちを汲み取るのが上手で話しているとどんどん会話が進んでいく。
俺の気持ちを理解してくれ、欲しい言葉が返ってくる。
こんなに会話が弾むなんて今まであっただろうか。
正直毎日話したいとさえ思っている自分に驚いてさえいる。

玲奈は俺のことをどう思ってるんだろう。

玲奈はいつも俺に気を遣ってるように思う。
借金返済はギブアンドテイクだといっても俺に負い目を感じているのはわかっている。
時々言われる「契約ですから」の言葉に俺は毎回胸がグッと押さえつけられる思いだ。

玲奈に契約を忘れて欲しい…
俺を、俺という人間を見て欲しい…

いつしかそう思うようになっていた。

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