冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~

心の中

久しぶりに千波と会う約束ができた。

私はお土産を持参し、千波と新宿で待ち合わせをした。

2人で噂のフルーツサンドを食べに行くつもり。

改札で待っていると、
「れなーーー」
と大きな声で手を振られる。
千波は相変わらず元気そうだなぁ。
私は小さく手を振り返した。

「元気?久しぶりだね。電話では話すけど会えて嬉しい!」

「私もだよ。いつも仕事をくれてありがとね。」

「こちらこそ助かってるんだよ。さぁ、とりあえずお店に行こ!」

私たちはフルーツサンドのお店を目指す。

結婚前はちょくちょくこうしてランチに行ってたなぁ。職場の人と噂のお店とかに並んで食べに行ってたなぁ。ほんの数ヶ月前なのに何だか懐かしい。

お店に着くとやはり人気店。
行列ができていた。
でもそこは女子。
美味しいもののためなら並ぶことも苦ではない。むしろ話ながら待つからあっという間。

「玲奈どうして仕事辞めたの?あんなにいい会社辞めるなんてもったいなかったんじゃない?」

「ま、色々あってさ…でも今は千波にもらう仕事をしてるし、家政婦みたいな仕事もしてるから結構充実してるよ。」

「そうなの?本当はもっと仕事回したいけど他も忙しいっていうからさ…もっとやりたくなったら言って。編集長とかにも評判いいんだよ、玲奈の翻訳。しかも仕事が早いしさ。」

「本当?ちょっと嬉しい。私も初めてやってみたけど楽しくてさ。あれこれ考えるとウキウキしちゃうの。また落ち着いたら考えようかなぁ。」

「うんうん。その時は他に行かないでうちで翻訳してよ。」

「ふふ、大丈夫。他で雇ってもらうほど長けてないから。」

「そんなことないよ。もし会社で働かないなら考えてね。」

「うん。でもね、最近ある人に旅行の話を聞いたの。バッグパッカーで世界を回ったらしいんだけどさ。その人ほどは出来なくても少しお金貯めたら旅行に行きたいなって思ってるの。だからまだ定職にはつかないかなぁ。」

「ちょっと!そんなこと悠長に言ってると婚期のがすよ。」

「でも今行かないと一生そんな旅行出来ないから…。素敵なホテルに泊まるだけが旅行じゃなくて、調べながら歩くのも楽しいって。でも女一人旅だからあんまり無理もできないけどね。」

「そうだよ。そんなことしたらおばさんたち驚くよ。」

「そうだね。うちの両親堅いから…。ね、仕事辞めたことも言わないで。」

「言ってない、というか私も両親と最近連絡とってないからいう機会もなかったよ。」

「親には心配かけたくないの。また落ち着いて定職についたら知らせるからさ。」

「分かった。とりあえず翻訳の仕事と家政婦してるみたいだから食べるのには困ってないってことだよね?むしろさっきから思ってたんだけど着る物がオシャレになってる気がするんだよね…!」

「そうかな?」

「うん!」

なんて返そうかと困っていたら店員さんが来てテーブルに案内してくれた。
話が切れてよかった…。
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