【完】夢見るマリアージュ
母がとても好きだった。
母に似ていると周りから言われるたびに、嬉しかったのは
もうこの世に肉親と呼べる存在が俺しかいなかった彼女の、孤独が少しでも拭われるような気がしたからだ。
「ほっくんはさー、本当にいい人だよなー。 俺絶対女だったらほっくんと付き合いたいもんね。
レナちゃんの気持ちが少し分かるわあー」
「いや…俺は、女だったら海みたいなタイプちょっと嫌かも…」
「えぇー?!何でー?すっげーショックなんだけどー」
「海みたいなタイプは異性にモテるだろうし、やきもきしちゃう。
…レナが怒っちゃう気持ちも少し分かるよ。」
「はぁー?俺モテないしさー。一体皆何の心配してるっつーんだろー」
阿久津フーズファクトリーの社長室に新しく配属されてから、相馬 海は人懐っこい笑顔であっという間に社長室に溶け込んだ。
父も明るい海を相当気に入っているらしく、いつも褒めている。