【完】夢見るマリアージュ

そして現在海は、俺の幼馴染であるチェリーチョコレートカンパニーの娘の桜栄(サクラエ)レナと付き合っている。

チェリーチョコレートカンパニーと阿久津フーズファクトリーは俺が産まれる前からの付き合いで、父親同士もとても仲が良い。

数年前までレナの妹であるルナと俺の婚約話が進んでいたが、ルナは他の人と結婚したためその話は流れた。

その後レナに告白をされたが、どう考えてもレナを妹以上に見れない俺は、その告白を断った。


小さな頃から、ルナには好意を抱いていた。

レナとは違いどこか放っておけなくて花のようなお嬢様だったルナと結婚の話が持ち上がった時は嬉しかった。

思えば、ルナはどことなく母に面影が重なる。 慈愛の満ちた微笑みを称えて、物静かで大人しく女性らしい所とか。

けれど実は自分の意思を貫き通すかっこいい一面も持っていて、しかし現在の彼女の夫である白鳥(シラトリ)(カケル) さんが現れて俺の初恋は見事に散って行ったのだ。


悲しい事ではない。
現在のルナは幸せそうで、レナもレナで海と付き合い始めてから人が変わったように丸くなった。

大切な人が幸せになる事。それは自分の幸せでもある。   しかし自分が幸せにしたいと思う女性は中々現れなかった。

もう30歳だ。  今まで誰と付き合っても長続きはせずに、試しに女性と付き合っても’思っていたのと違う’と言われ直ぐに振られてしまうのだ。
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