ハートに火をつけて



かみ合っていないようだけどちゃんと会話は成立してる。
ユカちゃんとは桜井がいつも一緒にいる友達のことで、要するに友達が
俺のこと好きだから私はアナタとは付き合えません、てことだ。

はっきりいって俺は今まで自分から女の子に好きだなんていったことは
なかった。そんなこといわなくても俺の周りにはそれなりに可愛くて
聞き分けのいいコたちがいたし、たとえキスとかそれ以上の行為をしたと
してもなぜかアトクサレもなく彼女たちとは今でもオトモダチだ。

桜井とは高2になるまで口を利いたことがなかった。部活仲間の乾と同じ
クラスで、乾の隣りの席に座ってた桜井は、俺のまわりに集まる女の子
たちとは種類が違って過剰に女子をアピールすることもないし、派手さは
ないけれど雰囲気が柔らかくて、そばにいるとなぜか安心できるという
タイプの子だ。

最初は俺と乾が話をしてるのを時々笑いながら聞いている程度だったのが、
だんだん会話の中に入ってくるようになり、いつのまにか3人で話をする
のが当たり前になっていた。

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