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「今回の事件について、何も心配することはない。優秀な部下の尻拭いは主である私がしっかり務めてやる」
嫌味を言ってにやりと笑った皇帝に苦々しく思いながらも何も言い返せなかった。
昨日も殺人事件が起きた。
しかもその現場はユーリスが眠らされていたホテルで被害者はあの部屋にいた女らしい。
その部屋に仮面を忘れていったユーリスは帝国警察から事情聴取を受けた。
なのに皇帝はほとんどそのことには触れずに、フローラが待っているのだから早く帰れとしきりに言ってくる。
しかし、ユーリスの心境としてはこの状況で帰れるわけもない。
あのとき頭痛で頭が朦朧としていて今思い出すと記憶が曖昧で女ともみ合い最後は突き飛ばし部屋を出たが、もしかしたらそれは思い違いで実は自分が殺したのではないかと思い始めていた。
いつか見た夢が現実となり、女を殺してしまったのなら自分は犯罪者だ。そして今度はフローラを手にかけてしまうかもしれない。
そんなことを口走ると皇帝はユーリスの背中をばしばしと叩き豪快に笑い飛ばした。
「ユーリスばっかじゃないのか?お前が、女を、フローラを殺してしまうかも?ははっ!ウケるなお前!おかしすぎて腹が捩れる!はははっ!」
こっちは真剣に悩んでいるというのに馬鹿にされてあまりの笑われようについ顔が熱くなり頬を膨らませた。