そして、舞踏会の日がやってきた。
支度を手伝ってくれたマリアがフローラのあでやかな姿に感激。
「フローラさま、とてもお美しいです!」
男爵が用意してくれたドレスは瞳の色に合わせてグリーンに金糸の刺繍が施された見事なもので、一年もデビューを遅らせたかいがありどこに出ても恥ずかしくない立派なものだ。フローラもこんな豪華なドレスを着るのは初めてでとても気に入っている。父には感謝だ。
髪型はマリアによってアップにまとめられ後れ毛が色っぽい。母の形見の上品な髪飾りとアクセサリーがフローラをより気品高く見せてくれた。
緊張でそわそわしっぱなしのフローラは何度も大丈夫かしらと不安を漏らした。
「ドレスと髪型は素敵なんだけど、中身が私だから何か失敗しそうで不安だわ」
昨日、最後は笑って和んだとはいえ、仮にも貴族令嬢が鶏を捕まえるなどと恥ずかしいところを見られてしまった。
ときにやらかす失態は大事な時に出てしまうのではないかと自分ではらはらする。
「ユーリスさまが付いててくれますから大丈夫ですよ」
「そ、そうよね」
そのユーリスの前で粗相をしてしまいそうでやっぱり自信のないフローラだったがその不安を飲み込むように頷いた。
元々美しかったフローラだが、こんなに美しく仕上げられたことに満足げなマリア。
きっとユーリスは見惚れてしまうに違いないと自信を持って言えた。
「さ、ユーリスさまがお待ちです」
「ええ」