誘惑の延長線上、君を囲う。
「タクシーに乗る前にコンビニ寄って、必要な物を買って行こうか?」

日下部君の自宅周辺の駅に着き、コンビニに立ち寄る。泊まるからには下着買わなきゃ行けないよね……。あと急だったからお泊まりセットに、日下部君とあと一本位はお酒飲むとしてお酒も買おう。色々とカゴに入れてレジで会計をしていると日下部君に電話がかかって来た。

「あ、何だよ。お前かよ。茶系で良いけど、デザインは何パターンか用意出来るか?」

親しい人物のようだったが、相手がすぐに判明する。仕事中の関係と日下部君が嬉しそうに笑って話せる相手はきっと"秋葉さん"だ。日下部君はコンビニの外に出て、雨に濡れないような場所で電話していた。

会計を済ませた私が日下部君の元へ行くとまだ話していた。私と話すよりも会話が弾んでいる。もう既に仕事の用事の電話じゃないじゃない?

「待たせてごめん……って、何してるんだ?馬鹿だな、風邪引くぞ」

私は降りしきる雨の中に立っていた。秋葉さんに対する"好きだ"と言う心情が日下部君から溢れ出していて、目の前で見せつけられているようで耐えられなかった。涙が落ちて来て止まらないから、雨が降っていて良かった───……
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