スペシャル企画 儚く甘い 番外編追加しました

結婚のその先に

寝ぐせ頭のまま、窓際で赤ちゃんを抱いてあやしているのは、私の愛する旦那様である、藤崎啓吾。
そんな愛する旦那様と、愛する息子をソファから見つめているのは、妻であり母である藤崎栞菜。

タイトなスーツをきこなして、大勢の社員たちをまとめばりばりと仕事をこなしている啓吾を知っているだけに、今目の前にいるふわっとした雰囲気の啓吾にどきどきしてしまう。

私にしか見せない姿だと思うと嬉しくて思わず、ふっと笑いそうになる自分の独占欲に、自分でも驚くことがある。

「今日は天気がいいなー。あとでパパと一緒に散歩に行こうか。」
抱いている息子に、クシャっとした柔らかい表情で話しかける啓吾。
彼のこの顔が見られることに、喜びを感じながら、決して当たり前のことではないと改めて心に言い聞かせる。

誰でも、いつ何があるかはわからない。

この幸せは私たちが今まで選択してきたひとつひとつが積み重なってつかんだものだ。