2章・めざせ転移門~異世界令嬢は神隠しに会う。

マイケル異世界2年を過ぎ

ガラーーーーーンガラーーーーーンガラーーーーーン

ウーリュウ藩島城の鐘が鳴り響くと、

「「「ルーク先生ー、
!!さようならー」」」

様々な髪色や、
瞳色をした子供達が、
鐘の音を聞いて、外へ飛び出す。

「明日は、ヤケラとロミが先生の
日だからな。遅刻はするなよ。」

「「「はーーーい。」」」

海を統べるギルドの別階段2階。

たくさんの机が並ぶ部屋の
前方で授業をしていたのは、
長茶髪に長身、瞳は青色。

頬に傷を持つ男
冒険者のルークだ。

マイケルは、
最後方の机に座ていたのを、
前列に席がある
ヤオの隣へと移動してきた。
今日はヤオ達に混ざり、
ルークの魔力発動の授業を
受けていたのだ。

「ヤケラと、ロミが子供達に、
授業をしているのは、知ってた
けど、まさかルークもなんて!
意外だねー。子供好きなの?」

ギルドと同じ建物の2階には
入り口は裏側になるが、
大きい教室がある。

「週に1度だけだがな。
もともと、兄がいるんだが、
そのせいか弟や妹が欲しくて
。知り合いの子供達の、剣の
相手なんかはしていたさ。」

今日は座学で授業をしていた
ルークは、黒石板の文字を
魔法で一気に消した。

へーっと感嘆の声を上げて
マイケルは、
鞄に紙を直すヤオの頭を、
撫でる。

「ヤオも、学校にこれて良かった
よ。ギルドの学校なら、マモも
いてるし、先生も知ってる人
ばっかりだからね。ね、ヤオ」

マイケルの言葉にヤオも、
嬉そうに笑うと、黒灰筆を
鞄に入れた。

ギルドが運営する学校は、
街の学校よりも実践的だと、
マイケルはヤケラと、ロミから
聞いている。
この為、冒険者ルークが教師として子供達に教えていると知って、驚きはしたが
ギルドで1番の狩人。

(ルーク並みに魔力が使えたら、
魔獣討伐も楽になるものね。)

ラジ達の先行投資に脱帽した。

「ルークの後人が、この学校から
たくさん生まれたら、この
イェンダ地区も安心だもんね。」

「マイケルさゃん、ルークの魔力
すごいの!目、青らのに!」

最近ヤオのしゃべりは、
しっかりしてきたが、
生え代わりの前歯から
どうにも、息が抜ける。

「本当に、ルークの髪とか、
なんでブラウンかなぁって思う」

マイケルはヤオの荷物を
一応忘れ物がないか確認した。

魔力の講師はギルドの長ラジ、
海底ハンティングは副長レサが、
一般的な学習を
ラジの息子ヤケラとレサの娘ロミが教える。
ルークは主に
魔獣特性や攻撃を子ども達に
教えているのだ、。

海を統べるギルドがある
イェンダ地区の学校は、
凡そ街の学校で教える一般的な
勉強だけでなく、
マイケルから見れば、
職業訓練前の技術も多大に
含まれて見えた。

「それを言えば、マイケルもだ
ろ。魔力なしの異邦人が、今は
ギルド会議に出てるんだ。」

「まあ、魔力なしは変わらずよ」

マイケルの応えを聞いて、
ルークは、
腰に吊り下げた懐中動時計を、
一瞥すると、言葉を繋いだ。

「住民権も得たんだ。マイケル
なら城の女官試も受かるぞ。」」

魔充石が出来るまで、
ダンジョン攻略に必要な魔能力の
付加を、
度々ルークに頼んできたマイケル。
気安い間柄になるうち、
マイケルが城に上がる事を望んで
いる事をルークは知っている。

「そのうちね。それに、いいの?
あたしが女官になったら、
そうそうギルドに顔なんて、
出せなくなるよ?ルークは、
寂しくないんだぁ。なんだ。」

ただ、元世界に戻る為とは
さすがのマイケルも明かしては
いない。

「何、毎回付加に呼び出され
なくて、良くなるからな。」

「なにそれ!ルーク性格悪っ!
まあ今はね、まずは、こっち」

ヤオが椅子から立ち上がり
マイケルの手にある束を、
興味深そうに見る。
と、そこに

「ルークさーん!マイケルさー
ん!そろそろ会議始めるって!」

教室のドアを開けて、
茶髪に飛行帽を被るヤケラが
2人を呼んだ。

「はーい。ヤオは外で、マモ達と
遊んでおいてね。海はダメよ。」

もともと、会議に出る為に
ギルドへ来たことを
ヤオに告げている
マイケルはヤオの頭を撫でる。

「わかったの、マイケルさぁん」

心得ているヤオは、
すぐに鞄を持って、教室を
出て行き、マイケルが手を振って
見送る。

「じゃあ今日の召集は、マイケル
が又持ち込んだ事案なのか?
どれだけ発案する気なんだ。」

ヤオが教室を出るのを見て、
ルークが口を開いた。

魔充石として水龍の骨を、
ギルドを上げて採取した後、
ギルドラボでの試行錯誤で
日常的に使える魔道具を考案した
マイケル。

そこから、
魔充石を使用ベクトルを設定した電池として使う事で、
元世界で言う『配電』『配水』を
基本にした、
所謂ライフラインをイェンダ地区
に作ったのだ。

その目覚ましい地区事業が、
他の地区にも認められた結果、
藩島全域に整備される事も
決まっている。

「別に特別な事じゃないのよ。
これまでに提案したのだって、
個々でやっていた事を、地区
全体で取り組んだが効率が良い
ってモノばかりだしね。ただ」

今や海を統べるギルドは、
マイケルの提案を施行する事で、
ギルドだけでなく、
イェンダ地区の総括事業所に
なりつつあった。

「ただ、何だ?」

ギルドでの会議には、
藩島ギルドから代表が出席する
までになっている。

「今日提案する事は、今までとは
ちょっと違うかな。生活とか、
日常的な話じゃなくて、どちらか
といえば、国防?的な?」

ラジ達の発展を目の当たりに
した他のギルドが、
マイケルの動向に注目している。
そんな
マイケルは、
自分の手の束に視線を落とす。

「国防?武器や、軍事なのか?」

「そこまでキナ臭い話じゃない
のよ。でも、この国の根幹に
なる事かも。結界魔力について
ちょっと思う事があってね。」

いつもとは違う雰囲気を出す
マイケルに、
ルークは肩眉を上げた。

「結界、、か?」

「そう、結界よ。」

ギルドの会議には、
流離いの冒険者として登録される
ルークも参加をしている。

一瞬ルークも、マイケルの束に
視線を投げ、
声を掛けようとした時、

「もう!ちゃんとヤケラは、
呼びにきたのかなー。ルーク
さん!マイケルさん!会議!
始められないって!父さんが」

再び教室のドアが開け放たれ、
今度は副長レサの娘ロミが
2人乗に、
叫んだ。

「はいはーい!ごめんね!」

マイケルは、急いで教室を出る。
後に残るルークは、
顎に片手を当てて思案して
佇んでいた。

ガラーーーーーンガラーーーーーンガラーーーーーン
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