シングルマザー・イン・NYC

また結ばれて

このマンションの間取りはちょっと変わっている。

横に細長い造りで、左端からキッチン、小さなダイニング――というよりは「朝食室」に近い。カミーユさんの家にもあった。ディナーを囲むダイニングとは違って、ごく簡素な朝食をとるための部屋が別に設けてあったのだ――リビング、バスルーム、寝室、が並ぶ。

雑炊は熱々で、私はゆっくり、冷ましながら食べた。鯛の出汁がとてもおいしくて、匙を止めることなく、食べきってしまった。

喉が渇いたのでシャンパンのお代わりを注ぎ、窓から見える東京タワーを眺めながら、ゆっくり味わった。贅沢だ。

(そろそろ、歯磨きしなくちゃ)

お腹が満たされた私は、廊下に置いてあったスーツケースの中から歯ブラシセットを出して洗面所に向かった。

中からドライヤーの音が聞こえる。

「樹さん? 入っていい?」

ノックすると、ドアが開いた。

「どうぞ」
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