秘め恋ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
Bloom 4 ぬるま湯に浸かりすぎないように
六月最後の日曜日。
午前中は家で仕事をしていた諏訪くんに誘われ、ランチに行くことになった。


歩いて行ける距離にある彼のおすすめのカフェはスタイリッシュな雰囲気で、店内に設置された二十席ほどのテーブルとは別にテラス席もある。
メニューも豊富で、日替わりや週替わりのラインナップは特に人気なんだとか。


「おすすめはハンバーグと窯焼きピザかな。ピザはどれもうまいけど、俺のイチオシはマルゲリータ。定番だからこそ、味の差が出るっていうか」

「食べてみたい。私、ピザはマルゲリータが一番好きなんだ」

「俺もなんだ。川本には定番すぎるって言われるんだけどさ」


諏訪くんとの共通点が、私を笑顔にする。
ドリンクも決めたあと、彼は店員さんを呼び止め、前菜の盛り合わせとマルゲリータを注文してくれた。


諏訪くんと一緒に住むようになって、今日でちょうど一週間。最初は不安もあったけれど、今のところ毎日がとても快適だ。


平日は彼が仕事に行っている間に買い出しや食事の支度をし、朝食と夕食は一緒に摂る。日中は手持無沙汰ではあるものの、おかげで部屋の片付けは早々に済んだし、周辺の散策もゆっくりできた。


諏訪くんはとても気遣ってくれ、毎日それなりに会話もある。決して無理強いや独りよがりなことはしない彼のおかげで、少しずつ仲が深まっていっていると思う。


あんなに戸惑っていたし、不安もあったのに、不思議とそんな気持ちは和らいでいき、今では諏訪くんと話せることが楽しみだった。

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